2009年01月08日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記 total 3275 count

新編武蔵風土記稿『東京都区部編』に杉並区下高井戸は含まれない!?

Written By: 川俣 晶連絡先

 仕事が1つやっと一段落して、本当に休まないとこれは死ぬと思ったので、梅ヶ丘の図書館まで少し行ってきました。目当ては新編武蔵風土記稿で下高井戸に関する記述を見ることです。

新編武蔵風土記稿について §

 新編武蔵風土記稿より

昌平坂学問所地理局による事業(林述斎・間宮士信ら)。1810年起稿。1830年完成。全266巻。地誌取調書上を各村に提出させたうえ、実地に出向いて調査した。調査内容は自然、歴史、農地、産品、神社、寺院、名所、旧跡、人物、旧家、習俗など、およそ土地・地域についての全ての事柄に渡る。新編とは、古風土記に対して新しい、という意味。

 というわけで、バリバリの文語です。ざっと見たところ漢文の部分もあるようです。そのままではほとんど読めません。じっくり読解し、現代文に訳しつつ読むしかないでしょう。

よく見かけるのは §

 図書館の蔵書などを検索するとよく出てくるのが以下の2種類です。

  • 新編武蔵風土記稿 東京都区部編 全3巻+別巻 千秋社 1980 (これとは別に三多摩編もある)
  • 大日本地誌大系 新編武蔵風土記稿 全12巻+別巻 雄山閣 1996

 このうち、上の方の版は世田谷区梅ヶ丘の図書館にあることが分かっていたので、見に行きました。

結論・上北澤村はあるのに下高井戸村は載ってないよ! §

 東京都区部編 全3巻に目当ての下高井戸村は載っていませんでした。上北澤村はあるのに下高井戸村は載っていません。(別巻の方はちらちらと見たところ漢文だったので内容を把握できていません)

 「やられたっ!」と思いましたが、理由は容易に想像ができます。

 それは、下高井戸村は多摩郡に属していて、多摩郡は三多摩編に収録されている可能性が高いからです。

 一方、上北澤村はたぶん荏原郡なので、東京都区部編に綺麗に収まったのでしょう。

 つまり、東京都区部編という呼称は現在の区部の境界に厳密に沿ったものではなく、取りこぼしがあったわけです。

 そして、世田谷区の図書館としては、世田谷区が収録されている以上、杉並区が収録されていないことなど何の問題にもならず、この本を購入したのでしょう。

というわけで…… §

 とりあえず蔵書検索したいくつかの図書館には「雄山閣 1996」版があるようなので、それを見に行くしかないかも。これはいずれ機会を見て挑戦することにしましょう。

余談・五百年前の東京 §

 近くの書棚にあった本を何冊か軽く見ましたが、「五百年前の東京」が少し面白い感じでしたね。Amazonの解説に寄れば「東京・府中の郷土史家であり、部落史・考古学 ・民俗学の分野で特異な研究を残した山哉の名著の覆刻。太田道灌による江戸城築城当時の地形と構想、民衆の生活史を地図と写真によって解明する」だそうですが、確かに江戸城初期の時代に関する様々な話が書かれていました。徳川家康が来て大幅に改修される前の水路状況等も含みます。ただ、本当に江戸城の話だけで、下高井戸八幡神社などの話は見あたりませんでした。

下高井戸周辺史雑記